手ぶくろがかたっぽ 編

 

 

第1話 きっかけ

 

そう、あれは1年前の出来事・・・

 

あたいの会社の偉〜い部長さんが、陣中見舞いに豊田に来てくれたの。

なんて気の利く方なんだろう・・・

 

まずは1次会で、みんなで飲んで楽しかったわ

その後でいつものヒゲさんが、

おあつ、次ドコ行く?」ってうるさいのよ

 

優しいアタイは仕方ないから

葉巻BARに連れて行くことにしたの。

そこはアザラシ同伴OKだし安心。

 

しかも今日はラッキーだわ。

なんてったって上司の方がいっぱい^^

あたいのお財布は要らないわね!

 

そう思いながらおあつは借り物のパ○ス3号車(ケッタ)に

またがり走り出す準備をしていた

 

「あら?手袋が片一個しかないじゃないのよ」(T_T)

そう、おあつは1次会の会場で無くしてしまったらしい

「すいません、手袋、忘れてませんでした?」

焼酎お湯割りの周りに、散乱している銀ヒゲを掃除していた店員は・・・

「ちょーっと見てないですね、すいません」

「あたいがこの冬凍え死んだら、アンタのせいだからね!」と

捨て台詞を残しシブシブ3号車で2次会の場所に向かった

 

あたいが思うにこの時に意地でも探しておけば

後々、あんなことにならなかったのよねぇ・・・

 

 

第2話 帰り道

 

あたいの手。。。霜焼けになりそう・・・

でも、今はみんなに合流しなきゃ。

 

自転車をコキコキしてあたいは葉巻BARに着いたの。

そこは地下にあって、三河では珍しくダンディな店。

部長さんヒゲさん年の割にはふけた石○さん

おくの席に座ってた。

 

「今日は飲んじゃってよ!」と部長さん!

これこそ上司の鏡だわ!

 

「おあつぅ、梅干がないんだけど・・・」

ヒゲはここでも焼酎お湯割りをすすっている。

(好きねぇ〜ソレ)

まったく、しょうがない上司だわ・・・

でも、そこがかわいいのよね。

 

そんなこんなで沢山飲んだ気がするの。

でも、今日は結構早めの引き上げ!

 

部長さん達はタクシーで帰って行ったのを確認して

アタイはパ○ス3号車にまたがって帰りだした。

 

夜風が冷たすぎて酔いが覚めそうで覚めない心地を

フラフラ楽しみながら自転車をこいだの。

でも、手袋が無いから寒いわ〜

 

ポケットに突っ込んでココは回避よ!おあつ

アタイ!こんなことで負けないわ

 

あと少しでホテル!

今日はお湯でも張って入ろうかしら・・・

ジンジンした手を入れれば、はじめは痛いかもねぇ。

 

あら!工事中で歩道が狭いじゃないのよ!

まったく国家の損失だわ、ムダ工事!

後方からの車の往来が気になったので、

少し路肩に寄せながら通過しようとした時

 

「あれ?地面が斜めに見える?何?何なの?」

 

ガシャーーーーーン・・・ポキッ

 

 

第3話 着れない

 

カラカラカラ・・・3号車は横たわって

寂しげに後輪を回転させている

 

どのくらい時間がたったのかしら?

アタイは腕に痛みを感じたので飛び起きたの。

 

「こけちゃった・・・痛い

顔や腕をすりむいているみたいだった

 

酔っ払い運転は自転車でも法的には禁止だったわね。

「あのさ〜、あまり言えた行動じゃないよね」

またヒゲさんに怒られるわ

 

フロントタイヤを側溝から引き出して

痛みと戦いながらホテルに辿り着いたの

 

フロントのお姉ちゃんが気を使ってくれたのは覚えてる。

おあつさん、大丈夫ですか?救急車呼びましょうか」

 

後で聞いたら、あの日はホテルの人は寝ずに

救急病院に行くかもしれないからって

スタンバってくれてたらしいの・・・ごめんね。

 

とにかく風呂に入って寝なきゃ!

明日は仕事の締め切り日だし。

イソイソと寝る準備をして布団に潜り込んだの・・・

夜中に痛みが増してきて死にそうだったわ

 

そして朝・・・チュンチュン

 

急いでTシャツを着ようとしたら。。。

すっかり腕の自由度がないのよーーー。

 

「あら腕がケンシロウ?」

 

そう、アタイ骨折してたみたい。

酔っ払いって怖いわねぇ

 

 

第4話 ヤブ医者登場

 

とりあえず加○病院に行ったの。

ダンディなおじさんがグイグイ引っ張ってくれたわ。

 

そうそう、付き合うならこんな感じの男の人がいい・・・

 

って!思うかい!

痛いんじゃハゲ!

何さらすんじゃ(怒)

 

まったく、ヤブもいいところよ。あそこは・・・

 

とりあえずT*Oに寄って、報告だけでもしておかなきゃ。

アタイはT*Oで用件を伝えてからバスで仕事場に向かったの。

 

みんな心配してくれて、ありがとう

アタイ涙出そうよ。

 

 

第5話 ヒゲの暗躍

 

ヒゲさんは職場で三河の両ちゃんに忍び寄ってきた。

「ねぇねぇ、両ちゃーん。聞いてる?」

両ちゃん棚卸で忙しかったが、こういう噂話にはめっぽう弱い

「何、何?」

ヒゲさん銀ヒゲをニヤっとさせながら耳打ちを始めた

おあつ骨折したんだけどね。

 職場であれは‘ボードでコケタ’っていう話になってるんよ!

 シラッとおあつに聞いてみな。きっとそういうから・・・」

 

さらに続けるヒゲさん

「でね、実はさぁ、アレって飲み会の後におあつが自転車でこけたんだって。

 会社の立場上さぁ、そういう報告はできないからねぇ」

 

「ほほ〜うぅ」(-_-メ)ニヤリ

 

 

第6話 俺じゃない

 

時は同じく・・・

おあつがT*Oで骨折事件を伝えた後

王様はいつも通りに出勤してきた。

 

誰かが言ってきた

「昨日、おあつと飲んでたでしょ?

 どうしてそんなことになったのよ!」

 

おあつ???

昨日は関西弁ミニヒゲ(TOPブリーダー)としか飲んでない

ただでさえ二日酔いの朝なのに、さらに意味が分からない。

 

聞けば、おあつが自転車で骨折したらしい。

「知らんわ、俺は・・・

「俺と一緒ならタクシーでの往復に決まってるだろ」

 

王様は「俺じゃない!濡れ衣だ!」と叫んだ

 

だが、ほぼ全員が王様と一緒だと思っているようである

 

「じゃ、ダレの仕業・・・?」

 

 

第7話 コイツ・・・

 

「あぁぁ、寒いわ」

骨折してからというものTシャツにジャケットを着ることしかできない。

どうしてこんな時期にやっちゃったのかしら・・・

 

チリリリーーン♪

 

おあつの会社携帯が鳴っている。

「もしもーーーし、おあつです」

「あっ、両ちゃんですけど。骨折したんだって?どうしたの?」

 

なぁ〜んて情報が早いの!!!

情報の会社って怖いって誰かが言ってたけど。

 

「いやー、ボードでこけちゃって・・・」

こいつに言うとロクなことにならないわ!

しかもうしろで「どう?・・・だろ?だろ?」ってヒゲさんの声もするし

 

「へぇ〜、てっきり自転車で転んだとか思ってもうーたわ」

両ちゃんはいつもの口調で言い放ちやがった

 

こいつ、確信犯ね!

ヒゲね!アノ人に決まってる。いつもそう・・・

 

「そんな小学生みたいなコトあるわけないじゃない!

 あっ、ごめんねMTG始まるから。じゃ」

 

ふぅ・・・広がる前になんとかしなきゃ

 

 

しかし、伝言ゲームのように外*の5階では

その日中に骨折の真実は広まったのである

 

 

第8話 完治?!

 

時は流れて・・・1ヶ月

アタイは定期的に病院に行っているの。

 

付けたことがある人は分かると思うけど

ギブスってかゆいのよ。たまんないわ!

 

いつもの先生が現れた

「じゃ、そろそろギブス外しましょっか!」

 

「あら?えらく早いわね。でも嬉しいわ」

これも毎週、牛乳を5本づつ飲んだ成果かしら!

さすが、あたいね!サイヤ人並の回復力よ

 

「じゃ、切りますねぇ」

先生はミニ電ノコでギブスを切り始めた

 

ウイーーーーン、バリバリバリ

 

この先生、強引だから心配だわぁ

 

チクっ!チクッ!

「痛っ!何?何?

  Stopして先生ぇ!!!」

 

先生は一生懸命なのか?おあつの悲鳴に気がつかなかった。

 

パカッ!っとギブスが外されて、

久方に空気に触れたほっそりした自分の腕をさすってみたの。

 

ん?ヌルヌルする。何なのよ。

 

あたいは何だろうと思って手のひらを見たら・・・

 

まぁ、腕が切傷だらけの血だらけじゃないのよ!

 

アタイ、絶対失敗したんだと思って振り返ったのよ

そしたら先生は何って言ったと思う?

 

「そんなもんですよ、上手くいきました

 

なーーーんだ、そうなのね良かったわ。

 

おわり

 

 

んな訳ないやろ!