おみくじ編
第1話
おあつは明治神宮に来た。
神様に今年こそは金回りが良くなるように頼まねばなるまい…
押しめぐる人をかきわけ、さいせん箱の前まで来た。
後から投げられた金がおあつに当たった。
おあつは早々といつも通りに金を拾い箱に投げ入れお祈りを捧げた。
「今年こそ…」
しかし拾った金では今年も苦難な年に…!?
第2話
おあつは、初詣のときに必ず着る服があった。
Stussyのパーカーは、その一年のおあつの生活を左右していた。
「今年はいくら入ったかしら…。」
神社から少し離れた歩道のベンチに腰掛け、おあつは゛上がり゛を数えた。
「上々だわ。」
気をよくしたおあつはおみくじをひいた。
「き、凶…。」
今年のおあつにも苦難が待ち受けているようだ。
第3話
「あぁ、今年もついてないのかしら…。」
ため息をついた瞬間、おあつは右目に違和感を覚えた。
1週間使いきりのコンタクトを1ヶ月以上使っている
おあつは、ふと思いつき、コンタクトをはずした。
案の定、コンタクトは疲れきって変形していた。
(なんとかしなければ…。)
おあつは、近くの緑色のコンビニに立ち寄った。
片目が見にくい状態で、陳列棚をのぞくと
コンタクトレンズの洗浄液が598円で売っていた。
(このくらいの出費なら、なんとかなるかも)
おあつは一本手にとって、レジへ向かった。
ピッ
「1298円です。」
店員の声が冷たく店内に響いた。
「え!?」
おあつは反論することもできず、お金を支払った。
しかし、納得ができないおあつは、もう一度陳列棚に
向かい、よく確かめた。
「あっ!この商品の値段は、隣の列だわ!」
そう。おあつが見ていた値段は、その隣の商品のものだったのである。
呆然と立ち尽くすおあつ。
おみくじは、早速その効力を発揮していた。
つづく