やった!かも 編
第一話 財産自慢
三河県豊◎市でのある夏の暑い昼下がり・・・
珍しく、おあつの愛車のオデッ○イ号で
おあつは仕事の同僚達とお昼ごはんを食べに出かけた。
この愛車はおあつの兄から譲り受けたモノで
差押さえにあってない唯一の財産だ
(あたいの純白の美車にみんなビビッてるわね)
(オデちゃんの小粋なところを見せてあげるわ)
そう思ったおあつは車で10分の距離で着く
和風レストランにわざと遠回りしながら運転している。
「おあつのナビ付いてるんだ!」と同僚の関西人が言ってきた
「これぐらいは社会人としては普通よ!」
「ふーん、俺のは付いてへんからなぁ・・・」と寂しげな関西人。
(ふぅ〜ん!逃走経路をコレでシミュレーションしてんやな)
三河の両ちゃんが、そう思ったことをおあつは気が付かなかった
そんなこんなで和風レストランに到着!
「さて今日のランチは何かしら・・・」
第2話 カニ違い?勘違い?
おあつはメニューを開いて下から見ていた。
対面の関西人は「うぉ♪カニがあるやんけ」と大ハシャギ。
(まったく、何でカニでくらいで喜ぶのかしら?)
(わたしはいつも食べてるから、何も思わないわよ)
「可愛そうに・・・」とおあつは関西人に微笑んだ。
「おあつも良いと思う?じゃ、カニで・・・」
関西人はそそくさと注文をした
おあつの目がキラリと輝いた
【ランチ:ご飯、お変わり自由】
(す・て・き!)
「ランチで・・・」と勝ち誇ったように言い放ったおあつは、
そんなこんなで、ご飯はキッチリ3杯食べた
「私も今晩は久しぶりにカニにしようかしら・・・」
しかし関西人が見ていたのは北海道産のタラバガニで
おあつがいつもの・・・と思ったのは、
矢作川のサワガニだったのである。
第3話 ロックオン
さて、その帰り・・・
行きと同様におあつは愛車でみんなを
会社まで乗せていくのであった
前の所長の車について会社に戻っていると
所長はかなりマニアな道を通って帰り始めた
「あら〜、所長ったら以外とツウねぇ」
そこは細い農道を横切って帰るルートであったが
所長は昼から酒が入っているがごとく
軽快なハンドルさばきで走り抜けていく
関西人が窓を開けるとかすかに
「おーほほほ。何人たりとも前は走らせないわよ」
と聞き取れたような気がする・・・?
おあつは200mくらい離されてしまった
おあつがやっと農道に入った時、
ある親子が農道を横切ろうとしていた
そう、それは何とも愛らしいカモの親子であった。
母カモは7羽の子カモを引き連れてヨタヨタ行進している。
母は子を心配しながら振り返り「早くするガァー」、
子は初めての大冒険にドキドキ。
好奇心旺盛な1羽の子カモが脇にそれ始め
白い大きな塊が近づいてくるのに見入った。
「何だガァーあれは?」
同じ頃、おあつは手前5mくらいで気が付いた
「おおおー何やーーー」
しかし止まれない・・・
人間は集中すると時が止まって見えると
どこかのおじ様が言っていた
おあつは止まった時の中で
様々なことを走馬灯のように思い描いた
(今なら正等防衛で食事GETだわ、ロックオン!)
おあつは悟られないようにアクセルを開け
徐々に近づいていく・・・
同僚のしばっちゃんが「危な〜い」とおあつの顔を見た時
おあつは修羅の顔になっていた
第4羽 どうなの?
車はそもまま通り過ぎてしまった・・・
カーステレオから流れる静かなBGM
しばっちゃんは恐る恐る目を開けて後を振り返ったが、
そこには何も居なかったかのような田園風景が広がっている。
おあつはいつもの観音様のような顔に戻っていた
(きっと何もなかったんだ!)
しばっちゃんは疑ってしまった自分を恥じた。
車はT*Oに辿り着いた
「乗せてってくれてサンキュー、おあつ」
みんなが建屋に入ろうとした時、
おあつが車の下を見ていたことに気がついた。
「うふふ」笑い声が聞こえる
関西人は少しリップの右の辺りが茶色くなっていたようにも思えた。
その後、オデちゃんに乗るとチュンチュン聞こえるらしい
おわり