イベント実行委員編

 

第1話

 

 ある秋の晴れた日、おあつは「イベント、やるぞ。おまえも実行委員だからな」と

王様からいつものように、何も返答できない状態で言い渡された。

 

しかし、その時、彼女は思った。

「よし、今回はいろいろと私が企画して皆をびっくりさせてやろう。

そして、私のスター性がどのくらいか、皆に見せ付けてやろう。その時が来たわ!」

と考えた。

 

おあつは、この時の為に、昨年からいろいろとネタを考えていた。

 

しかしながら彼女は、この後、自分に訪れるさまざまな不幸を知らなかった。

 

 

第2話 おもいつき

 

イベントの実行委員として任命されたおあつは、会議の席で

「皆さん、企画を出して下さい」と王様の号令を受けた!

自分のお金じゃないから、ちょっと気合入っちゃう」

そんな思いを胸に、おあつはイベントを考えた

 

「そうだわ、おめでたいイベントだからくす玉やらなきゃ」

さっそく節約のために、会社のネットでくす玉を調べると

なかなかのバリエーションがあることに気がつき、

(さすがアタイね、ここに目を付けるとは!)

王子じゃ無理ね!!)

 

「機材レンタルの風船くす玉!あぁ素敵よね〜」

「でも*****円は予算的に大丈夫かしら」

 

王様に相談すると、

おあつに任せるよ」と気の良い返事(^o^)/

 

早速、くす玉会社に予約を入れ

「後は当日にセットするだけ。

       みんな驚くわよ〜」

 

しかし、まさか自分が「明日のジョー」ばりに真っ白になるとは

この時、おあつは思いもしなかったのである

 

 

第3話 不幸の幕開け

 

2003年12月18日 某ホテル宴会場

イベント開始4時間前

 

宴会の準備で王様を始め、みんな大忙しである

王様「あれ、どうした?」

王子「あれ、OKです」・・・

両ちゃん「これで良いっすよね!」

 

そんな忙しさの中、おあつは隅のほうで

展示用の模型をセッセッと組立てている。

「この手の組み立ては王子には無理ね」

「あたいのGOD_HANDを見せてあげるわ」

 

「まず、このシールをここに貼ってぇ・・・」

「このサイドミラーをねじ込む・・・」

 キュキュ、バキッ!!!

「おぉ〜?!折れちゃったぁぁ」

 

そーと、辺りを見渡すとステージに腰をかけた

王様とバッチリ目が合ってしまった。

 

「あのー(ToT)」

 

「あぁあぁ、やったな!おあつ。どうする?DOする?」

王様はおあつの不幸が楽しくてしょうがないらしい

 

そうこんな不幸は、1段階見極め程度であったことを

おあつはまたまた後で気づくのである

 

 

第4話 集客

 

2003年12月18日 某ホテル宴会場

イベント開始2時間前

 

おあつはついに動いた

「うふふ、いよいよだわ」

「でも怖いわねぇ」

王子〜くす玉、手伝ってよ〜」

 

ちょうど手の空いていた王子だが

さすがに、風船くす玉を、膨らますのは怖かった

「ヤダよ〜っ、あんた自分で頼んだんだからさぁ〜、

 自分でやりなさいよ!!」

そう言うと王子柱の影に身を潜めた。

 

「冷たいこと言うなよなぁ・・・」

 

そのやり取りの声の大きさに、タバコを吸っていた

浜のオヤジは、何かが始まる予感がして

吸いかけのタバコを乱暴に消し、壁越しに覗き始めた。

 

王様も面白いことになると読み、

「カメラどこだ、カメラ〜」と走り回っている

 

ロビーの関西人もピン!ときてスロープから覗いている。

 

そんなみんなの熱い視線を感じたおあつ

(見てなさい、あんたたち!)と、心で叫んだ。

 

「まずこのでかいボンベで風船をΦ120cmに膨らますのね」

 

おあつはMANUを読みながら、黄色い大きな風船くす玉の口を

プロパンガスボンベより少し小さいヘリウムボンベに突っ込んだ。

 

くす玉はまだ中に入っているミニ風船でボコボコしている

 

     プシューーーー!キューーーキュー

 

おあつの夢を乗せて、くす玉は少しづつ膨らみ始めた

 

 

    写真(つっついてみて下さいね)

 

 

第5話 もっとよ、そう!!!

 

現在90cmくらいまできた。

ピュシューーー、ピュシュ?フシュー

 

王様はやっとのことでカメラを抱えて間に合った。

「おぉ、どうだ。おあつ?」

心配している言葉を浴びせながら、指は逆の思いで

王様はシャッターを押している。

 

ボンベの残量はどのくらいなんだろう?

ダレも分からない・・・そう、おあつ本人も。

 

「そうよ、もっとよ!膨らむのよ」

おあつは無我夢中である。

 

ゆっくりと首を上げ始めた黄色い風船。

少しづつボコボコした感じが無くなって来た。

 

「凄い、怖いよ〜おあつぅ」

柱の影から王子がささやく。

 

おあつはHOTELの従業員のお兄ちゃんに助けを求めたが、

お兄ちゃんも怖いのか?クロークの机に隠れてしまった

 

「そろそろ、ええんちゃうん?」

関西人おあつが手を離した瞬間にポヨーーーンと

浮き上がることをイメージしていた

 

「もう?いい?いいかしら?」おあつはそう言いながら、

少し風船を支えている手を離してみた。

 

ポワ〜ン!?ポテっ!!!

風船は重い首を下げて「浮けません」おあつ謝った

 

 

第6話 ツヤ無し

 

2003年12月18日 某ホテル宴会場

イベント開始1.5時間前

 

予想通りのオチになったことを確かめて

全員、自分の担当の仕事に戻っていった。

 

しばらくして王様関西人はステージに腰をかけながら

景品のシエンタをどのように並べるかで議論をしていた。

「どうします?この折れたミラーのシエンタ?」

王様はすかさず「しまっとけ、あいつに処分を任す!

 

そんなやり取りをしていると・・・

おあつは神妙な顔をして風船を引きずって倉庫に向かってきた。

 

「ダメなのか?おあつ?」

王様はツヤを失っているおあつに声をかけた。

 

「・・・業者に電話してみます、支払いも含めて・・・」

このときのおあつの気持ちは全員分かっていた。

だから中途半端な声のかけ方ができない

 

「ダメなら諦めろよ。隠しネタだから良いよ・・・。

 それと、次に頼むかもしれんから金は払っておけよ」

 

おあつは元気の無い声で王様に返事を返した。

 

その後、その風船がどうなったのか?

現在でも謎である・・・

 

おわり

 

 

あとがき

 

その後、イベントは無事にコトを運び

めでたく終了した。

 

我々、実行委員は2次会を楽しみにしていたので

さっさと部屋に引き上げた

 

部屋には、この日の疲れを癒すためのグッズが用意されていた

 

関西人がうれしそうに北海道産のタラバガニをほおばり、

珍しく王子が酔いつぶれた。

そして様々な酔っ払いのサガである事件が勃発した。

 

カニの甲羅で頂く日本酒は昔で言う2級を特級に変えるらしい。。。

関西人は何を思ったのか食べたカニの抜け殻

部屋の備品であるポットにぶち込み、シェイクを始めた。

なぜ?彼がそんな行動に走ったのかは分からない!

あの何とも言えないあのが忘れられない。

(日本酒党の王様に怒られたのは言うまでもないけどね・・・)

 

その後あのポットがどうなったかも謎である。

次回、我々の名前で泊めてもらえるかは分からない

 

そして写真を見て欲しい。

王様はすでに次なるアクションを開始し始め、

王子は酔いつぶれ、おあつの初めての宿泊証明書を握って寝てしまった。

今日一日の出来事を走馬灯のように思い出しながら

おあつはグレてしまった。

タバコを吸いながら王子にケリを入れている!

「あたいの風船どうしてくれんのよ!(怒)」

 

そして、おあつも眠りについた・・・

 

また、やろうね!!!