ショーに並ぶ迄(4)

1/1モデルの作成は、中子フレームの作成から始まる。

まずはタイヤを取り付けるための(ハブ)のレイアウトからだ。
流用ホイールの寸法を元に、ホイールベース、トレッドが所望の位置に来るようにハブベースを置く。
(ハブベースはDKオリジナルとなる。・・ただ、タイヤがくっついている程度のものだ)

フレームは50×100あるいは50×50の角パイプで構成される。
モデルよりも3回りくらい小さい。

中子フレームが完成すると、硬質ウレタンをくっつけていく。
定盤の上にモデルをセットし、レイアウトマシンで座標を確認しながら、クレイのもり代を見込んで硬質ウレタンを削っていくのだ。

この時点以降は通常、大きな変更という物は入らないのでクレイ代は少ない。
(30mm程度である)

概略の形状が出来ると、次はクレイの盛り付けである。
似たような形状が出来てくると、実感がわいてくる。
(1/4などスケールモデルはやはり’おもちゃ’で、1/1は感動が違う)

クレイの盛り付けも終わり、冷却した後はモデル上に1/4モデルの’デジタル測定’結果を乗せて行く。
数表はXYZの座標で8000〜20000点くらいある。
一人が読み上げ、もう二人がレイアウトマシンでモデルを突っついていく。
(殆どの車がが左右対称なので、同時進行である。)

あとはクレイ面を仕上げていくのだ。

エクステリアの展開と同時に、インテリアもスタートである。
予算との兼ね合いもあるが、インパネの部分だけは最低限’インテリア・バック’というものを作りこむ。
こちらも基本はパイプフレームが基本である。
FRシート、ステアリングシャフト等をセット出来るようにし、硬質ウレタン、クレイといった流れでエクステリアと同様である。

設計部隊はというと、まずは作動部位の確認及び、面修正を優先する。
ウィンドウの昇降が一番大きい。
筒状の面でないと、開け閉めが出来ないからだ。
(仕様的に’不必要’の場合もある。こんな時は非常にうれしい!)

修正座標分の数表をモデラーに渡して、モデルに反映してもらう。
(この時、何故か分からないが、モデラーの方が立場が強い「えー、やだなー」って言われるのだ。)

次に、各断面形状を3次元にし、オープニング線などを微調整していく。

ロックの配置、ヒンジの配置等、機能部品を配置していく。

インテリア・デザインのテープドローを読み取り入力していく。

シートなどの設計も始める、’夢のようなメカ’もだ。

ただ、フルデータ(CATIA内での再現)とすることはまずは無い。
契約上、あったとしてもショーの後に’ちんたら’と作るのである。
作成できる’最低限’の情報をアウトプットするのである。

2004年8月22日