パッドの話(5)
パッドの構成部品はウレタンだけではない。
引きワイヤー、硬度確保の為のチップウレタン、サポーターなどをインサート発泡するのである。
引きワイヤーは、布地の引きパターンの形状を出すためにパッドに鋼線を埋め込んでおく。
コスト面、作業性を考え、2次元曲げを基本にする。
(組長の経験上、3次元曲げは無かった)
チップウレタン、これは乗降時に加重の掛かりやすい部分に強度(硬度)を確保するためにインサートされる。
主に、RRクッションの土手部分に置かれる事が多い。
作り方は、ウレタン、表皮材などを2〜3mmくらいに粉砕をし、圧力を掛けた状態でウレタン樹脂によって硬化したブロックである。
サポーター、これはウレタンとフレーム(金属)とがこすれあうと「きゅ、きゅ」と音が出る。
この音を消すために、フェルト(祖毛:そもう)を間に入れておくのである。
’ト×タさん’では、フレームに接着しておくみたいである。
組長の所属していた’ニッサ◇さん’系ではパッドの成形時に一緒の発泡してしまう、事をしていた。
音止め機能と同時に、ウレタンがサポーターに含侵(がんしん)するために硬くなり、引き裂き強度が上がるのだ。
また、メイン部とサイド部の硬度を変える手段としては、チップウレタンをインサートする、とは別に異硬度パッドなるものがある。
原料特性の異なるウレタンをメイン部、サイド部別々に流し込んで成形するのだ。
この時の問題としては、発泡スピード、2液が合わさった部分の含侵層の硬度上昇、後ヘッドが複数必要になる。
といった問題が上げられており、量産化されてはいなかった。
(先日、工場見学をする機会があり、確認すると異硬度技術は、殆どのほパッドに採用されている様である。)
さて、実際に設計に入っていくのだが、シートの設計について組長の’思い’というのがある。
「手法として、違うのでは」という部分が多々あるのだ。
まあ、別コーナーでも書いてはいるが、現在でもその方法で作られており、ちゃんと機能しているので’良し’として紹介していこう。
まずは、デザイン部門でデザイナーがスケッチを書き、テープドローを起こし、それを基にモデラーが’硬質ウレタン’で形状を立ち上げる。
(クレイで作業するメーカーもあるが’布地の張り込み’等の作業性が悪いので、硬質の方が・・・・・・と思う)
この時点では’視覚的なチェック’である。
この後、モデルのデジタル測定をし、シートフレームの概略レイアウトをする。
(フレームの構成は、この時点で決定している)
ダミーちゃんも連れてこられる。
(仕向地によって大きさが違うし、足の長さも違うんだ)
形状に対し、法規が通っているか、パッド厚の確保がなされているかが確認され、デザイナーとのやり取りがなされる。
(最低パッド厚というのがあり一般では’25mm以上確保、であった)
この時点で’なーんちゃってフレーム’(物性を無視しているもの)を作成し、スラブウレタン(ウレタンのブロックだな)から’削りだしたパッド’を作成する。
表皮材も実際に近いものを選び、縫いパターンに無理が無いかのチェックもされる。
デザインの確認を受け、ヒップポイントを測定する。
形状的な撓み量を推測する為である、リバースエンジニアリングだな。
(スラブの硬度が一定とし、逆算をすると’大体が推測できるのだ)
長くなってきたので’また次回’にしよう
2004年9月1日