万○スキー場にて

組長は子供の頃からのスキーヤーである。
ただ、時代の波に流されるのが普通人である。
若い頃はまじめにスキーにうちこんでいた。
が、この時代は相当に違ってきていた。
目的が’スキーをする’のではなく’大呑みをする’に変わっていたのである。
メンバーは毎年変わっていたが、10〜20名くらいの迷惑集団であった。

そのころは、数年の間’万○温泉スキー場’に行っていた。
その時の、宿泊場所である’万○温泉ホテル’での、数件の出来事である。

エピソード1
その年は、ホテルの奥の奥にある部屋であった。
ご存知の方もいると思うが’万○温泉ホテル’はいくつかの古い旅館を、渡り廊下でつなげてホテルと称している施設である。
当然のことながら、組長たちの夜は’宴会’である。
夕食の時も’宴会’だが、部屋に帰っても’宴会’なのである。

その時のメンバーは9名だったかな、ビールは350ml缶を3箱、持ち込んでいた。
あたりまえだが、足りるはずが無い。

’ぱしり’というのは何時の時代、どこにでも居る者である。
二人以上の団体になると出来てしまうのだ。
この時も×むらというのが’ぱしり君’に任命されていた。

「おーい、×むら!ビール無いよー、買ってきたいだろー?」
「いってきまーす!」
「行かせて下さい!だろー」
「・・・・・」
とにかく買いに行くのである。
最初、10分くらいかかっていた。
「ただいまー」
「おっっせーよー!!!どこ、ほっついてたんだー??」
5分後
「×むらー!ビールねーぞー!どーしてくれんだー!!」
「いかせてもらいまーす」
「走っていけよー!!」
今度は7分くらいで戻ってきた。
×むらはゼーゼー言っている。
また、5分後
「こんどは5分でかえってこーい」
「はーい」

ほんとに5分で戻ってきた。
組長「???」である。
5分後、またまた・・である。
×むら、戻ってくる。早いのである。
ゼーゼーも無い。

不思議に思った組長、次の命令後、×むらを追跡である。
×むら、廊下を歩いていく、組長、追跡である。
1分くらい歩くと×むらは急に立ち止まる。
よーくみていると、足元にはダンボール箱、×むら、まわりをキョロキョロ。
次の瞬間、箱に、手を突っ込み、数本のビールを抜き出すと、ダーーーシュ、部屋に帰ってくるのである。

廊下は寒い!各部屋の人たちは廊下でビールを冷やしていたのである。

翌日、フロントで言われた。
「夕べ、窃盗事件があったんですけど、お客さん被害は・・・?」
「なんか、廊下においたビールが数本無かったようで・・・」
「そうですか、申し訳ありませんでした」

エピソード2
数年目の事である。
ホテルの方も’うるさい連中’ということで一般客室ではなく大広間にされてしまった。
玄関を入って’すぐ’の部屋である。
自動販売機は近所である。

その年は参加者、20名くらいは居たであろうか。
組長たちも学習しており、ビールは15ケースと’業者’のように持ってきていた。

が、足りなくなる。
今年も×むら君である。
「かってこーい!!!」
「はーい!!」
すごく、早い。
こりゃええ!!

数回目、×むらの様子がおかしい。
行く度に’酔い’が進んでいる。
しかも、戻ってくるのに時間が掛かり始めたのである。
また、組長の追跡である。

ついていくと、×むらは自動販売機ではなく、廊下の反対側に向かった。
そこには、海の家とかにもあり、スキー場にも晴れになると出てくる’風呂’のような冷蔵庫があった。
×むらはそれに手を突っ込むと一本取り出し’プシュ’’ゴクッ、ゴクッ’である。
組長は言った「×むらー!!そりゃまずいだろ!!」
×むら「えー、だって’ごじゆうに’って書いてあるよー」
冷蔵庫には張り紙があり’ご自由におとりください’とあった。

その後、殆どを呑んでしまったのは言うまでも無い。

翌日、その冷蔵庫を見ると’お会計はレジまで’と小さく書いてあった。

そそくさとチェックアウトを済ませてその年は帰宅した。

翌年、予約を取ろうとし人数を告げると「○○さん、××さんの御一行様ではありませんよね」と確認された。
(○○、××は組長の友人である)
「人数、確認し直してから、もう一回電話するー」と言ってガチャと切ってしまった。

ブラックリストだなー!!

他にもエピソードはある。

何故か、我々が出発する時、横浜は大雪の日が多い!
かみさん共に言われる。
「この(雪の)状態でもいくかー!!」
「ばっかじゃないー、どーせスキーしないで呑みにいくんだしー」
「普段の行いが悪いからー、雪降るのよー」
好き放題、言われる。

首都高とか関越、東北の道路が閉鎖されていても出発である。
朝、5時に出発し夕方6時に到着のときもある。
車の中で’宴会’である。
「×むらー!べんじょー!」
「早く止めないと、次に止めるの、すぐになるぞー」
「×むらー!ビール無いー」
道路が開通しせっかく有料道路を走り出しても
「△△インターでおりて、ビール買おーぜー!!」
なかなかつかない。

それでも組長たちは行くのである、楽しいスキーに・・・・・

2004年8月9日