クレイ

クレイについての話である。
なかなか実物を見る機会はないものである。
クレイとはそのまま訳してよい’粘土’のことである。
しかしながら皆さんが、小学校の時にいじくったものとは多少違う。

常温ではかなり硬いのである。
この、くせのあるめずらしい物について確認していこう。

クレイには国産と輸入とがある。
各自○車メーカー、どちらかを使っている。
当然、客先と同じ物で作業をし、納入しなければならない。
国産についてだが、どうやら神戸地区で作っているらしい。
以前、阪神大震災のときにクレイ不足になり、大手メーカーが組長の所属していた会社まで、クレイを借りに来たことがあった。
ちなみに輸入の方がちょっとやわらかめで、作業はやりやすいらしい。

クレイを使って形状を作り出す職人たちをクレイモデラーという。
第○工業(面倒なので今後DK)には、彼らが6,7人在籍していた。
かれらの手は職人である。
常にあたたかいクレイを触っているために、低温火傷を負っていて、しかも指先仕事である。
腫上っているように見える。
ワインが開かない時「ちょっと貸してみ」で渡すと、クイッとコルクをビンの中に押し込んでしまい、ガブガブ呑んでしまう。

自動車では通常、クレイモデルとして1/4か3/8のスケールモデル、フルスケールモデルを起こすのが一般的である。

1/4モデルを起こす場合、中心の部分は硬質ウレタンを使う。
(スチロールを使う業者もいるが、スチロールは痩せてしまうので耐久性がない)
ざっくりと硬質ウレタンを切り出し、その上にオーブンで暖めておいたクレイを盛り付けていく。
熱収縮とかあるために、一挙には盛り付けない。徐々に付けて行き、実際作ろうとするモデルよりも大きめにする。
そして、あとは削り落としながら形状を作っていく。

1/1フルスケールの場合、角パイプで骨格を作り、熱処理(ひずみを取る為)をし、硬質ウレタンを貼り付けクレイを盛り付ける。
初期モデルの場合形状変更も大きいのでクレイの層も厚くなり、重量は3トンを超える。
タイヤは実物を使うため、レベル(車両姿勢)を出すにはエアをガンガンに入れる。
(すげーこわい!!爆発しそうだ。・・・この手の事故はエアを入れているときに起こるものだ)

あとはクレイモデラーがレイアウトマシンを使いながら形状を作っていく。
いろんなスクレパー(ヘラみたいなもの)を使いながら削っていくのだ。
彼らの手は力はあるが、その上繊細でもある。
デザイナーが「この面、1mm落として」というとモデラーはスクレパーでしゃかしゃかやって、ドア一枚くらいの面積を30分位で下げてしまう。
それも、測定をかけるとちゃんと1mmが出ているのだ。

2004年7月27日