樹脂(3)

またまた’樹脂の話し’である。
今回は組長が樹脂の生産に大きくかかわった’ブロー成形’なるものを話していこう。

’ブロー成形’とは樹脂を’茶筒’状に垂らして行き、その’茶筒’の下端をつまんで空気の逃げ場を無くして置いて(封筒状だな)成形型で挟んで、中に空気を送り込み続けて冷却を待つ、という工法である。
(文章で書くと長いのだが、見れば’簡単’である)

代表的な製品としては灯油の’ポリタンク’などである。

茶筒を’パリソン’と呼び、成形上の大きな要因となる。

世の中にはこの’パリソン’を層状にする技術があり、いろいろな製品になっているらしい。
(ガソリンタンクに用いられている。耐油性、圧力、強度が要求され、6層成形などというものもあるらしい)
組長が経験したことがあるのは、残念ながら単層のみである。

組長の、愛用成形機は’プ△コー製’であった。
アンドレが「ブロー成形機、買って来い!!」というので埼○県は岩×市まで買いに行った。
まるで’水撒きホース’でも買いに行く感じである。
成形材料はポリプロピレン、これで’トラッ○・サ×ー’のワゴン車のラゲッジ部品の開発を行ったのである。

成形機の性能のひとつとして’1ショットあたりの樹脂排出量’が上げられる。。
(一回に樹脂をどれだけ出すことが出来るか、である)
総重量3kgの物を作りたければそれ以上、ということになる。
(残りの樹脂は’バリ’と言う形で再生される)

成形機の話を少ししてみよう。
原料は前出の’ペレット’で納入されてくる。
これを成形機の上部にある’ホッパー’に入れる。
樹脂は’スクリュー’と呼ばれるエリアに流れ込む。
スクリューの回りにはヒーターが設置されている。

スクリューの先にはやわらかくなった樹脂を貯めるエリアがある。
(名前を忘れてしまった。誰か教えて!!)
{恐らく’アキュムレータ’ではないっすか?byわし:そうでした、ありがとうございます}
このエリアの大きさによって、成形できる製品の大きさが決まるのである。

そこからダイスという’パリソン’の径を決める部分を通して成形となる。

ここで、大事なのが樹脂を溶融しているのはヒーターのみではない。
スクリューが回転しペレットを’押し潰す’時に’熱’を発生しこれが溶融を促す構造になっているのである。
(でなければ、ヒーター容量はとんでもない物になる)

あちこちの原料メーカーに行った時、組長は’おばけ成形機’を見た。
工場の3階部分くらいの高さから、直径1mくらい、厚さ30cmくらいのパリソンが出てくるである。
ずーーーーと、出てくる。
戦車のような物体が動き出す’型’である。
まるでジャイアント・ロボの基地みたいなのである。
ガッチャーーン!!シュー、シュー!!
しばらくしたら’型’が開いた。
それは、なんと’浄化槽’であった。

話を変えよう。
ブロー成形機には’パリソン・コントロール’なるものがついている。
これを’巧み’に使い、成形条件を調整する。
パリソンは出始めは’自重が軽い’ので’厚さ’は所望の設定で排出を始める。
が、どんどん出していくと、自重も重くなるので柔らかい樹脂を引き伸ばして薄くなってしまう。
ドローダウンという現象である。
これを、ダイスのクリアランスを調整することにより均一の厚さにしていく。

これは、初期ブロー、型締めタイミング、ブロー圧などとともに’成形の巧み’という人達の、能力評価の要因となる。

2004年8月14日