コピーって違うんだよ!
組長がIBCに入って数年経ったとき、の事である。
組長にも’後輩’という奴らが出来始めた。
そいつらには’教育’というものが必要であり、組長としてはこの時本当に「教育とは徹底的にやらないといけないのだ!」と言える一件を御紹介しよう。
新人配属のS君、大学卒のエリートである。
将来’重役幹部’を約束され、また期待され、入社してきた’奴’なのである。
その当時、CADとかいう代物は一般的ではなかった。
図面とか検討とかは全て’手書き’で作業されていた。
フィルム紙の上に、製品が’浮き出て見える’そんな代物を作り上げるのが我々’職人の仕事’という時代であったのだ。
ある日、組長が数十枚ものなれない図面書きの仕事をしている時であった。
S君が配属されてきた。
M課長(アンドレではない)が組長に言った。
「重要な人材なので、くれぐれもそそーのないよーに!!特に○○(組長)!!」
組長「てやんでーえ!・・生意気そうだな!・・まずは使いっ走りだ!!」
IBCは独自開発品もあるが、最終的にはN様に’買ってもらわなくてはならない’のだった。
’×木の要塞’に持ち込んで承認という物を頂かないと将来’お金’にならないのである。
先輩の’設計部署’から図面を借りてきて、組長の傑作と合わせて、要塞の’先行開発’部署に納める準備を始める。
借りてきた図面と組長の図面、これらを新人S君に渡しながら組長は言った。(いや、言ってしまった)
「この図面、焼いて来い!!!」
この時代、ゼ△ックスなるものは存在していない。
複写をとる場合’青焼き’というものが複写の手段であった。
紙が青っぽくなる文字通りの’青写真’である。
つまり「焼いて来い」っていうのは、いまで言う「コピーをとって来い」であったのだ。
そのS君、当時としてはめずらしく’煙草’を吸わなかった。
組長に言われた後、なぜか隣りの部署にいる同期の奴にライターを借りに行ったのである。
組長、この時は人生経験も少ないので「・・・・????あいつ、何やってんだ!!とっとこ行けよー!!」と思っていた。
ここまで書くと、皆さん想像出来るであろう。
そう、S君は図面を’燃やして’しまったのである。
S君、組長の前にどうどうと戻ってきて言った。
「焼いてきました!」
組長が受け取ろうと手を出す。
ふたりとも「・・・????」である。
組長「お前・・・・焼いてきたって・・・・」
S君「だから、焼いてきたっていってるでしょ!!」
「なーーーーにぃ?!!!」
それっからは’蜂の巣をつついたような’状況であった。
なにしろ’原紙’が無くなってしまったのである。
組長の方はある程度作業が進んだら’コピーをとる’が習慣になっていたからまだいい。
先輩には正直、文字通り’ぶっとばされた’のである。
(痛かったよ!S君)
当時’2次原紙’というものも作成が可能であった。
その’2次原紙’を利用し、なんとか先輩には許してもらえた。
(先輩は客先に’こってり’しぼられたらしい)
今となっては’CADのない時代のいい思い出’である。
組長はその後「どんな学歴を持っていても’一回は’説明する」というのが基本となった。
2004年8月12日