エンジン
最初の遊び方は坂を下ることだった。
冬なのに大汗をかき、坂を押して上がっては、またがって下ってくる。
自転車と全然、違いは無い!ブレーキの配置が違う程度である。
しかし’バイク’という物に乗っているんだという楽しさがあった。
だけども、こんな遊び方はいずれ飽きるものだ。
当然、エンジンを回したくなる。
友達の兄ちゃんがバイク屋でバイトをしている、ということで聞きに行ってみた。
すると、カブのサービスマニュアルというものを貸してくれた。
ついでに工具も古いのを貰った。
さて、マニュアルを読んではみるが、チンプンカンプンである。
読めない漢字も多い。(漢字の勉強にもなっているのだ)
まずは、オイルを抜いてみる。
「ドレンていうんか、これ」といった感じで緩める。
つぎの瞬間「ツ、ツーッ!ポタッ、ポタッ・・・」あれ!800ccって、1リッターたらずじゃないの、どばーじゃないの??オイルの残量はヤクルトどころかアンプル程度しか出てこない!!
チンピラにいちゃんに聞いた「オイルってどうしてた?」
「なんじゃいオイルって、ガソリンいれれば動くんじゃい」
そんなもんかなあ???カブの凄さを初めて思い知った組長であった。
まあ、Hさんのマニュアルなので、絵も多くなんとかなりだした。
バラバラにしてしまい、ストーブから抜いてきた灯油でゴシゴシ洗う。
洗い易そうな物から洗ってしまう。この辺が小学生である。
機械洗浄は1部品ずつ、最終洗浄まで処理をし、腐食対策をしてから次の部品にかかっていく、というのがセオリーだ。
2日目、学校から帰ってきて部品の所に飛んでいく。
みごとに、腐食(サビ)が発生している。
再度、ゴシゴシこすりまくり、きれいにする。
手は傷だらけである、エンジンの内部部品はエッジだらけである。(あたりまえ)
そんなことも知らず、夢中になって作業するからだ。
古い歯ブラシもすぐボロボロになる。
中には、解けてしまう物もあった(化学って不思議、と思ったのもこの時である)。
オヤジの今使っている歯ブラシも、使ってしまったので翌朝、オヤジは探し回っていた。
CRC5丁目56番地など無い時代、オヤジの車にあった補給用のオイルをベタベタ塗りたくり、組み立てに入った。
’締め付けトルク’ってなんだ??状態で、「こんなもんだろ」で組み立て始めた。
ガスケットは再使用&ボール紙カット、シールはUコン時代に使っていた木工用接着剤であった。
なんとか、もと通りになったみたい、だが、部品があまる。
再度ばらし、もう一度組み立てる、と違う部品があまる。
4,5回目にようやっとあまりが無い状態で組みあがった。
2004年7月28日