チョコはオレのじゃないのかよ!

バレンタインデー?
ばかじゃねえの?

今ならこう言えるが、学生のときはやはり気になるものである。
なにしろ「昭和」時代であったから、今とはまた趣が違う。

わしは家に向って歩いていた。
歩道橋の下から誰かわしの方を見ている。
「いやまいったなー。まちぶせかのー」
・・・まんざらでもない。

「あ、まみちゃんだ!」

わしが常日ごろ可愛いと思っているまみちゃんだった。
これからのマミちゃんとの甘い生活が頭をよぎる。

まみちゃんがコッチに向ってあるいてくる。

ま「こんにちわ」
わ「こ、こんにちわ」

まみちゃんが紙袋を差し出す。
・・・やっぱりな。チョコレートかよ。

ま「あの・・・」
わ「は?」
ま「これヒロセ君わたしてください。お願いします!」

それだけ言うとまみちゃんは足早に走りさった。

・・・自分で渡せよ。

おわり