鼻くそをつけてデートに出かける編

その日はまきこちゃんとデートだった。
山口県から広島に上京?上広して初めて付き合う「都会の女」だった。
寮に住んでいたわしは、いそいそと身支度を整えた。

前日からちょっとカゼ気味ではあったため顔を洗ったときに、
「鼻水が半分固まった白いもの」がビローンと鼻の穴から5cmくらい出た。

わしは気付いていない。
寮の「集団洗面所」の鏡は全部壊れていたので鏡は見ない。

「鼻水が半分固まった白いもの(以下、「彼」」がついたまま、わしはタオルで顔を拭いた。
「彼」はわしの鼻の穴を始点にして、上向きに2cmくらい伸びたところで切れた。
切れた彼はタオルにくっついた。

わしはさらにタオルを頭のてっぺんに向って動かした。
残り3cmの「彼」は、わしの前髪あたりに絡みついた。

・・・わしはじぇんじぇん気付いていない。

2人の「彼ら」をくっつけたわしは、シティターボ(赤、フェンダーミラー)に乗り込み
まきこちゃんを迎えに行った。

仲良く車に乗って「宮島」方面に向ってドライブすることになった。
わしの顔右半分には、当然「彼ら」が潜んでいる。

信号待ちで、「何か食う?」とまきこちゃんの方を向いて聞いた。

ま「きゃー!鼻くそがついとるよ~この人!」
と言われた。
今風に言うと
ま「キモ~い!まじキモイ~~」

素早くルームミラーで鼻を見ると
「げげげ!」
「彼」である。

ピリピリと「彼」をはがした。
「か・かっこわる!」

よせばいいのに・・・
わ「もうついてないよね~」
と、もう一度まきこちゃんの方を向いて聞いた。
満面の笑みである。

ま「髪の毛にも鼻くそがついとるよ~この人!」

再びルームミラーを見ると、もう一人の「彼」が頑張っていた。

おわり