幼き思い出(1)
両ちゃんは幼少のころより神戸市で生まれ育った。
神戸といえば素敵なイメージかもしれないが
関西のドーナツ化現象と第二次Babyブームと重なり
人口が大変多い町である。
ちょうど淡路島と本州の交点にあたる垂水区で
サッカーをして伸び伸び育った
人口が多い反面、とっても校区が狭いのも特徴だ。
よって電車でどこかに行くのは年に何回もなかった。
81年、まだ小学校2年生だった両ちゃん。
ポートピア81が開催されて神戸はちょっとしたお祭騒ぎである。
そんなこともあり家族で花火を見に行くことになった。
(この頃から神戸のメリケンパーク花火大会は8月1日になった)
なぜこんなにはっきり覚えているのか・・・
それにはある出来事があった
花火を見終わって電車で三ノ宮から垂水へ向かう快速電車の中。
花火の時って、ツレ同士で飲みに行ったヤツラが多いので
電車の中は酒臭かった。かなり息苦しい・・・
当時は聖子ちゃんブームだったのか?!
あるブリッコお姉ちゃんが両ちゃんの前に座っていた。
「やーーん、もう。○○ったら・・・邪魔せんといて」
お姉ちゃんはかなり酔っ払っており、彼氏といちゃつきながら
かっこ良く清ました顔でセッセとお化粧に励む。
(女の人の化粧を見るのは、オカン以外ではメッタにない)
そう思った両ちゃんはマジマジと観察に入った。
電車が兵庫駅を過ぎたあたりでお姉ちゃんは口紅を塗りだした。
フラフラ酔っ払いながら体を揺さぶり、器用に輪郭を整える
「次は須磨、すーーまーーー」
かすかなアナウンスが聞こえたその時!電車が大きく揺れた!
両ちゃんはつり革なんて届かない!
オトンのベルトを握り締め、あわてて体制を立て直した。
「ん、ん、うーんん」
ふと見るとお姉ちゃんがうずくまっている。
彼氏もどうしたものか?と上体を支えて起こした時・・・
ドリフのような光景が目に入った!!!
お姉ちゃんの鼻の穴に根元から折れた口紅が刺さっているぢゃないか!!!
お姉ちゃんはなんとか抜こうと鼻の上から押したりしていたが
どうしても抜けないようで真っ赤な顔と鼻で
電車を降りようという仕草を見せる!
ガタン、ゴトン・・・
しかし悲しいかな。電車は快速・・・
兵庫駅の次は3駅離れた須磨駅まで止まらない。
お姉ちゃんは清ました顔で鼻を手で覆うしかなった。
母ちゃんに頭をシバカれながらも、
お子様の両ちゃんは大爆笑で通過する駅を楽しめた。
(さすがに指さして笑ったら、オカンがお姉ちゃんに謝っていたが・・・)
アレが酔っ払いかぁ。。。
酔っ払い怖さを知った初体験であると今は懐かしみながらもそう思っている。
おわり