食い逃げPart2
会社生活を、エンジョイする王様。
今日も、インターネットでお楽しみ。
「おーい、***ーー。ちょと来い」
(***は、王様の本名である)
たまちゃん次長が、大声で叫んでいる。
(たまちゃんといっても、ひげたまとは別人である)
「へーい、何すか」
声の様子から‘怒られることはない’と判断してにこやかに近付く。
「おまえのとこの、Yだけど会社を辞めたい、と言ってる」
王様は、当然知っていたが、
「えー、そうなんですか?
なんとなく、不審な動きはしてたんですが」
彼の最近の行動を説明する王様。
サラリーマンとしては、完璧な答えである。
なぜなら、言外に自分の落ち度はない、と主張してるのである。
責任回避。サラリーマンの鉄則である。
「おまえ、説得しろ。」
たまちゃん次長が、無責任に、言い放つ。
「わかりましたけど・・。説得には、多少お酒が入らないと」
「これで、行って来い」
気前よく、諭吉がでた。
「領収書貰ってこいよ!!」
貰うものさえもらえば用はないと言わんばかりに、
王様はさっさと自席に戻った。
「で、おまえ、結局辞めるの?」
つまんない話は、さっさと終わりにしたい王様。
まだ、お酒も着て無いのに、いきなり本題。
弁解するY氏の言葉は一切、耳にはいらず、一言。
「じゃ、3時間説得したけど、本人の意志変わらず、と言うことで。」
まだ、5分も立って無い。
「いいんすか?」
王様一人では、不安があったたまちゃんは、
もう一人、説得役を指名していた。
「いいんだよ。以上終了」
一方的に宣言する王様。
次長の心配は、現実のものとなった。
「今日は(も)、飲むぞ--。ちょっと早いけど送別会だ」
もう意味不明、盗っ人に追い銭である。
「じゃ、次行くぞ。おまえ次の店、探して来い。」
「本当に、いいんですか。こんなんで」
「だから、おまえが次の店を探している時、俺はサシで説得するんだ。
だからいいんだ!!」
相変わらず、意味不明である。
店探し係から、電話が着た。
「あそこの店、OKです」
「じゃ、行こうか」
店の人が、掛け声をかける。
「ありがとう、ございました」
「ごちそうさま--」
飲んでれば、ごきげんの王様。
明るく店員にあいさつをかえす。
「で、あのときは、すげーおもろかった」
酔っ払い3人の、脈絡のない会話。
すでに2件目でも、全開である。
「ところで、さっきの店いくらでした?」
「知らない。お前払ったんだろう?いくらだった?」
「払う訳ないじゃないですか。僕は店を探しに出てるんですよ」
「そんなことは、俺はしらん」
相変わらず無責任な王様である。
結局、食い逃げしたことが、ほどなく判明し対応を考えた。
「どうします?今から、払いにいきますか」
「必要なし。払えといわないあそこの店が悪い。」
さすが、王様。問題をすり替え始めた。
「俺らは払う気持ちはあった。お金は持っている。
請求をしないあそこの店の、店員の教育がなってない」
王様は、お酒で酔っ払っているだけでなく、自分の言葉に酔い始めた。
「でっ、昨日どうだった」
「二人で、12:00まで、説得したんですが・・・」
「そうか。駄目か」
「すみません」
「ところで、領収書は」
「すみません、忘れました」
本当の事は、一切ふれず適当に言い逃れする王様。
自席に戻った王様は、手下から声をかけられた。
「どうでした?」
「大丈夫!うまくごまかした」
「領収書の件は?」
「そっちも大丈夫。
まさか‘食い逃げしたから領収書はありません’とは言えねえからな」
おわり