よっぱらいは楽しい!(1)

【酒気帯び運転でつかまる編】

 

「大2つねーーー!」

 

そのころの浜のオヤジわし週5だった。

貯金の減り方が計算すると丁度合う。

 

肝臓はGPT様が「わしをどこまで上げる気ぃ〜?」

尿酸値様通風ギリギリまで上がった。

 

でも浜のオヤジは前向きだ!

肝臓?レバー食っときゃあ治る!ホレ食え!」

・・・と、焼き鳥のレバーをくれる。

通風?そりゃ贅沢病だよ!うめーもんばっか食ってんじゃあねぇの?」

・・・いや、ビールプリン体が、ものすごくよくないんすけど。

 

でも、当時大した病気もせず入院もせず生きていたからまんざらでもない。

 

浜のオヤジと知り合ったころは、

「明日呑みに行きましょうか?」

「今日行きますか?」

一応聞いていた。

遠く懐かしい。

DNAの1部にかすかに書き込まれているくらい昔のことのようだ。

 

・・・・再び飲み屋である。

「ねーねービールまだぁ?」

いつもの満面の笑みである。

 

その日は大ジョッキを5杯ずつでお開きになった。

 

わしは36回ローンを36回残したまま盗まれたバイクのかわりに

中古のバイクを買ったばかりであった。

「このバイクだきゃぁ盗まれたくない!!」

日本橋の暗い路地にバイクを置いて帰るのはありえない話だ。

 

わしはバイクで帰ることにした。

首都高で検問してるの見たことないし、きっと警察も

「キミたち、お金払って乗ってもらってるんだからいいっすよ!」

ってことだよな・・・。

などと妙に納得している。

 

・・・これがよっぱらいである。

 

エンジン快調である!

「ふふ〜ん、ふふふふ〜ん、はは〜ん」

絶好調である。

 

・・・たぶんサザンである。

歌詞がわからないのでハミングである。

片岡義男の「彼女のオートバイ・僕の・・・」の世界である。

「いつものコーナーを曲がると、心地よい風を感じた。僕は次のランプで高速を降りた。」

ってなもんである。

 

傍から見れば腹の出たただのオヤジが「単車」に乗っているだけである。

・・・しかも酔っ払い。

 

出口の路線に別れて下り坂1車線になってすぐであった。

 

「げげげげげげげげげげっつ!」

 

出口の先に、赤い棒や「止まれ!」の旗がキラキラしている。

笛の音とかも聞こえる。

・・・・・一網打尽である。

赤いのもクルクル回っている。

 

わしは観念した。

「浜のオヤジ!世話になりました!ご恩は一生忘れませんぜ!」

・・・今度はB級ヤクザ映画の世界である。

歌は八代亜紀である。

 

警察官「はーーーーーってしてみてください」

わし「いや、すみません。呑んでます

警「・・・・・」

 

すぐさま別のおまわりが飛んできて取り調べが始まった。

 

小心者のわしはおまわりさんに満面の笑みで質問した。

罰金っていくらくらいですかー?免許取り消しっすかーー?」

警「そりゃぁ裁判所が決めますから。はいこっちきて!」

 

な、なにーーーーーーーーーーいっ!裁判所!?

わしは離婚調停中で裁判がもう一個闘争中だったので過敏になっていた。

裁判所に2度も世話になるとは!!

 

裁判官がたばこ室で休憩時間に資料を見せ合いながら

「こいつ知ってる?」

「あーこいつまた来とるんかいのぉ、今度はなにやったんかい?」

「飲酒らしいで。ついてないやっちゃなーー」

・・・絶対言う。○ATIAの世界でさえこんなに狭いんやから裁判所なんて

もっと狭いはず・・・。

 

妄想していると、おまわりに呼ばれた。

警「はい、じゃあこっち来て中央線の上をまっすぐ歩いてみて!」

わ「は、はいっ!」

 

両手を横に上げたまま約5メートル歩いて往復しなければならない。

酔っ払いには1kmにも2kmにも感じる距離である。

 

「や・やばい・・・」

がしかし、案外イケるではないか!肝臓様ありがとう!

あまりにうれしかったので

わ「おまわりさーーーん!ほれ、ちゃんと歩いてますよ!ほら!」

と振り向き叫んだ。

 

おまわりは冷たく

「・・・そういうのが酔っ払いって言うんですよ」と言った。

 

シラけるやつである。

「す!すげーじゃん!酔っ払ってるのにちゃんといけたね!!」

とか

「頑張れ!あと半分だよ!おれが見てるから!」

くらい言えよ。

 

免許を預け「バイクを押して帰れ」と言われて終了した。

 

後日、簡易裁判があった。

調書を読み上げられた。

 

「・・・日本橋にて大ジョッキ1杯の飲酒を行い2時間程度休息し・・・・・」

てなもんである。

取調べでは「中ジョッキ2杯」と言ったのに何故大ジョッキ1杯になったのだろうか?

 

一応裁判のおじさんに

「あのー、大生1じゃなくて中生2なんすけど、いいんすか?」

と聞くと

 

「調書の変更になると色々ややこしいから大ジョッキ1のままでよいと思いますよ。」

・・・・なんかめんどくさそうなので

 

「量は一緒だからいいです」

・・・・・得意の換算である。

おわり