はやくぅー!(1)
【浜のオヤジ池袋でヤマンバの心をつかむ編】
接待である。
浜のオヤジがいつになく緊張している。
1次会。
池袋のビアホール。
「おいおいこれ見てみろよ!」
浜のオヤジがとてつもなくでかいジョッキを指差した。
「で、でかいっすねーーーーー!」
大ジョッキの5杯分はゆうにありそうである。
取っ手が両方についていて、両手で抱えて呑むらしい。
後ろに書いてある説明書きを指差して浜のオヤジが言った。
「30秒じゃあ呑めねぇよなーーコレ」
「呑めなかったら5000円はきついっすねーー」
「飲めるやついるんすかねーーー。」
その店では、この特大ジョッキを時間内にのめればタダ
しかし残したら5000円である。
接待にはもってこいである。
お客さんにそのジョッキチャレンジを注文し、わしらは
大ジョッキを注文した。
特大ジョッキが運ばれてきた。
「お客様の時間はこれより30分、19:00でございます」
浜のオヤジとわしは、3歳児がのたうち回るほど悔しがった。
「うそーーー30秒かと思ったよーー何だよー30分かよー!くそーーー!」
いつものビールのピッチの速さが仇になった。
勝手に30秒と思い込んでしまったのである。
一応交渉である。
「この大ジョッキキャンセルしてそれにかえてくんない??」
さすがにそれは断られ、しぶしぶ大ジョッキを繰り返し注文するハメに。
「これ1杯のんじまったらもう無理だよな〜」
逃がした魚は大きい状態である。
接待したお客さんは、残念ながら残してしまいしぶしぶ5000円を支払った。
2次会である。
呼び込みのお兄ちゃんに誘われるがままキャバクラに潜入!
出てきたのは当時はやりのヤマンバである。
話など合うはずもない!「お決まりのスケベネタかよーー気ぃつかうなーー。」
となりのお姉ちゃんとお客さんと静かに話していると
浜のオヤジの隣に座っているヤマンバが、
「あーーーちょーかわいーーコレ知ってるーーー!!山田太郎でしょ!」
浜のオヤジとヤマンバがえらく盛り上がっている。
浜のオヤジも満面の笑顔である。
ちょーもりあがっている。
モテモテ状態である。
ヤマンバの話によると浜のオヤジの100円ライターに張ってある
子供向けキャラのことで盛り上がっているようだ。
わしはさっぱり見たことも聞いたことも無い世界である。
そのライターに張ってある「山田太郎」なるシールが
いつものキャバ譲くどき用アイテムなのかたまたま張ってあったのかは
未だにナゾである。
終わり