だ、だれかコイツらのビールを止めてくれ!(6)

【浜のオヤジ、わしに看板盗難を強制する編】

 

またまた駅ビルである。

何故か皆であるいていると、ふっと隠れるのが好きな浜のオヤジ

駅ビルには隠れるところが多くて大変である。

見つけないと(探さないと)かなり不機嫌になる。

 

その日はかなり盛り上がった。

泥酔直前である。

 

エスカレータ脇に「東京○○飲食店街 こちら!」という高さ1.2メートルくらいの看板があった。

「わし、これもってかえりまーーーーーす!」

と冗談で抱えた。

 

そのとき、浜のオヤジ

「あ!お前!絶対持って帰れよ!絶対だからな!」

とかなり真剣に言ってきた。

「はやくぅーーーー」

けしかけられた。

引くに引けない状況。

子供じゃないのに。

 

「あ、あたりまえじゃぁないっすか!持って帰りますよ!」

「じゃ、オレチェックするからな!おまえんちに行ったとき!」

「いいっすよ!ばっちりっすよ!」

 

何がばっちりかわからないが、看板をしっかり抱えていた。

浜のオヤジ

「オレ、改札までついてくからな!」

「げげっ!マジっすかーーーー!!!」

 

わしは重たい金属製の看板を持って山手線にのった。

「じゃまなんだよテメーー!」

罵声を浴びせられながら看板をかばうように巣鴨まで辛抱した。

終電だったのでタクシーにのった。

 

聞かれもしないのに

「いやーー、これお客さんに明日とどけるんすよ」

などとへらへらして言い訳もした。

バレバレである。

浜のオヤジのチェックが終わるまではなんとしても家のベランダで保管である。

 

次の日、浜のオヤジ

「お前ほんとにもってかえったの?やばいよー」

他人事

 

悔しいので、家の前の歩道橋の階段横に立てかけてやった。

 

板橋の歩道橋に朝起きたら

「東京○○飲食店街 こちら!」

があるのだから皆??状態だ。

 

2年たった今でもその看板は歩道橋の下に置かれているという。

東京○ビルの看板はゴージャスに生まれ変わり、チェーーンが取り付けられていた。

 

おわり