帰りたくない!
第1話 プロローグ
ある、初冬の出来事である。
その日は、東京都下で始まった業務の初日であった。
キックオフ、活動説明、ガイダンス等が終わり、夕方の事である。
「もう5時じゃん!いまから仕事に入っても、なにもできないね。
明日から、ということで、今日は、食事に行こう!」
(ちなみに、食事とは「飲み」の別途言語である)
誰からとも無く、このような言葉が出て、全員で動き出した。
(定時は、5時35分である。まったく何を考えているんだか.....)
全員とは、王子、猫パンチ、唐揚げくん、プロレスマン、タマヒゲ、浜のオヤジ
そして、新登場’あつを’くんであった。
(あつをくんは、おあつの弟である。話の進行にさまたげがあるので、
追加されたキャラクターだ)
机の上を片付けた時、タマヒゲの電話がなった。
「わりい、先に行っててよ、後から追いかけるから!」とタマヒゲは遅れることになった。
タマヒゲ以外の6人は、京○バスに、例によってワイワイ騒ぎながらのった。
都下にある、大型駅前に到着。
コンビニ脇にある証明写真撮影機で、全員、ニコニコした写真(通門証用)を作り、
「じゃあ、どこいきますか?」とあつをが言った。
第2話 客引きの女の子
広大な日○駅の駅舎を抜け、駅の反対側に来た御一行様。
何処に行くか(店、あるんかい?)迷っているうちに、白○やチェーンの客引き女子がいた。
当然のことながら、あつをはチェックに行く。
ビラを左手で受け取りながら、右手は女子の肩に回っていく。
浜のオヤジは思った。
「こ、こいつ、呑んでもいないのに、もうおっぱじめた!!」
三○地区を離れ、王様、三河の両ちゃんらの呪縛から逃れたばかりの反動か、
あるいは、猫パンチ、トリ男たちへのけん制の意味があったのかは定かではないが
あきらかに‘あつを’は以前とは変わった!
浜のオヤジはこの時、確信した。
来年初頭には、何かやらかすだろうと・・・・。
肩に手を回された女子は、あきらかにビックリしていた。
当然だろう。
午後6時を回ってもいないのに、いきなり、だ。
ある程度、夜がふければ中にはそんな客もいる。
しかし、冬なのにまだ多少、明るいではないか。
まあ、彼女もプロなのであり、冷静な処理をした。
「お客さん、こちらです。おすすめは・・・・」と
しっかりと店に案内をしていった。
猫パンチ、トリ男は「あつをもなかなかやるなあ」
と感心して付いていった。
第3話 本題
店に入ってからである。
店の行動は上記の行動からも分かるような反応であった。
明らかに一般席ではなく、奥まった位置にある‘個室’に通された。
扉付である。
「明らかに隔離された!」と浜のオヤジは思った。
まあ、当然であろう、この手のお客は何かと問題を起こすものだ。
宴会が始まり、トリ男のサガが見え始めた。
「から揚げ、カラアゲ、・・・・」のから揚げオンパレードである。
猫パンチが奪おうとするが、渡さない!
まあ、この辺は主題とは関係が無いので割愛しよう。
タマヒゲから電話が入った。
タマヒゲはあつをの上司、ということになっている。
店への案内をしているのだが、確実に何かおかしい。
「駅前に???に似ている女の子がいます。その子の肩を抱くとここに来れます」
なんじゃそりゃ!!
まあ、無事にタマヒゲも合流し、例によって再度「かんぱーい!」
と宴会に‘油’が投入された。
タマヒゲは他の話でも出ているが‘焼酎おゆ割り梅干入り’が大好物である。
その、焼酎お湯割り梅干入り に切り替わった直後の発言である。
「あつを、ホテルとれよー!」
まだ、7時をちょっと回った所である。
早すぎな決断ではないか!
「家で何かあるの?」浜のオヤジは聞いた。
「うん、俺、帰りたくないんだ!」
タマヒゲはうつろな目でつぶやいた。
第4話 エピローグ
その後、あつをはあちこちに電話をし、なんとかホテルを予約した。
途中で携帯電話の電池が切れてしまい、なけなしの10円をつかって・・・。
しかも2部屋である。
浜のオヤジの分、ということである。
このあたりは王子とはずいぶん違う。
(王子は浜のオヤジの正社員らしい。
普通、この手の仕事は部下の仕事、と思う。
が、その後も浜のオヤジのホテル予約はあつをの仕事になった)
まあ、この日は、浜のオヤジは帰宅した。
終わり